福岡の不動産市況

天神ビッグバン

2020年10月21日

国家戦略特区による航空法の高さ制限の特例承認をトリガーに、ビル容積率の緩和など福岡市独自の施策を展開し、2026年までに30棟のビル建て替えを誘導するプロジェクト「天神ビッグバン」(当初は2024年までだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期間が延長された)。天神交差点を中心とした半径500m、約80haのエリアで、福岡を活性化させる複数の再開発計画や空間整備プロジェクトを「補助金」ではなく「規制緩和」で民間投資を呼びこむという構想で、市では民間ビルの建て替えによる効果として、延べ床面積が約1.7倍、雇用者数が約2.4倍、建設投資効果2,900億円、経済波及効果が建て替え後毎年8,500億円と試算している。

 

高島宗一郎市長は、2019年12月の定例会見で、「現在のところ、2024年までに目標の倍以上の70棟近いビルが建て替えになると見ている」と述べるなど、規制緩和を最大限に活用した天神の新しいまちづくりで、民間投資意欲を引き出すことに成功している手応えを感じているようだ。

 

 

明らかになっている再開発

※2020年10月末現在

 

天神ビッグバンの第1号プロジェクトで、福岡の地場デベロッパーの福岡地所が手がける「天神ビジネスセンター(仮称)」は、 2021年9月の竣工を目指し、2019年1月に着工している。地上19階、高さ89mの大型複合ビルで、地下には商業テナントも入り、アジアゲートウェイ、職住近接というエリアの特徴を生かし、常に新しいビジネスと文化を生み出す交流の場を整備する。

 

天神ビッグバンの親玉ともいえる再開発もすでに着工している。「旧大名小学校跡地活用事業」だ。この広大な開発用地は市有地のため、福岡市が事業協力者を公募し、複数の企業グループから応募と計画のプロポーザルがあった。最終的には、積水ハウス、西鉄、西日本新聞等の企業連合が決定し、地上24階、高さ110mで天神最高層となるオフィス・ホテル棟を中心にさまざまな施設を建設する複合都市となる。高層棟の上層部に整備されるホテルには米高級ホテル「リッツ・カールトン」の誘致に成功しており、2022年12月ごろの供用開始を予定している。

 

天神ビッグバンのど真ん中では「福ビル街区建替プロジェクト」も動き出した。天神交差点から渡辺通に面したエリア(福岡ビル・天神コア・天神ビブレ)の一体再開発で、2024年夏に地上19階、地下4階のホテル・オフィス・商業の複合ビルに生まれ変わる。

 

この3つの再開発ビルは2020年3月末までに閉店しており、同じく再開発が決まっている隣接する商業施設「イムズ」も2021年8月に閉店と、地域をけん引してきた商業施設の閉館が続く。しかし、これは慣れ親しんだ商業施設に別れを告げ、「次の天神」になるために必要な産みの苦しみとして、何としても乗り越えなければならないものだ。

 

 

 

FUKUOKA NEXT

 

福岡市は、将来のまちの設計図「福岡市総合計画」(2012年12月)を策定し、「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」を目指して、まちづくりを進めている。

 

その結果、人口は、政令指定都市で国内5位の規模となり、観光客は、過去最高を更新し続けるなど、国内外における福岡市の存在感は格段に高まっている。こうした潜在力が開花し始めた福岡市をさらに次のステージへと押し上げる、まち全体でのチャレンジが「FUKUOKA NEXT」だ。

 

福岡市は、あらゆるテーマについて「〇〇NEXT」と名付けて取り組みを進めており、中でもアジアのリーダー都市としての都市機能の更新・向上が期待されるのが、「天神NEXT」(天神ビッグバン)、「博多NEXT」(博多コネクティッド)、「ウオーターフロントNEXT」(中央ふ頭・博多ふ頭の再整備)である。

 

天神・渡辺通、博多駅周辺、ウオーターフロント地区は、都市再生特別措置法に基づき、国が政令で指定した特定都市再生緊急整備地域になっている。商業・業務・交通・観光などの視点から地区の特性を高め、一体不可分となって機能強化を進めることで、交通拠点、質の高い都市型産業の集積や交流・おもてなしの場として、国際競争力の強化に資する都市機能の中枢拠点の形成を目指している。

 

 

 

博多コネクディッド

ウオーターフロント地区再整備